今回は、都会育ちの私が大学生の時に離島で過ごした春のはじまりのお話です。
地方への憧れ
十代後半~二十代前半にかけて、生まれも育ちも関東の都市圏の私は、地方都市や田舎への憧れを抱いていました。地方出身者は都会育ちよりも郷土愛が強く結束力があり、さらにそれが彼らのアイデンティティのひとつになっているように感じて、うらやましかったのです。
わたしもいつか地方暮らしをして、郷土愛に満ちあふれた人になりたい。それが当時の私の強い願いでした。
住み込みバイト「ボラバイト」への応募
ある日、通学電車の中でネットサーフィンをしていると、「ボラバイト」というサイトを見つけました。
“ボラバイトとは
ボランティア(自主的に)+アルバイト(働く)=ボラバイト
ボランティア(volunteer)とアルバイト(arbeit)を合わせた造語です。
~中略~
農家や宿泊施設などを中心に、様々な現場が人手を必要としている時期に伺い、経験したことがない仕事の体験や、地方の人々との交流が働き手にとって自己肯定感・自己有用感を高められるような、人生の貴重な体験の一つとなる事を目指しています。”
出典:ボラバイトHP
若者が地方にいって貴重な体験をする報酬にお礼程度ですが給料をいただけると言った仕組みです。仕事をする期間も自分で決めることができ自由度が高く、学生をはじめ社会人などにも参加しやすくなっています。
これは、地方暮らしをしたいという私のニーズにマッチしていると思い、早速求人を探して応募してみることにしました。なんとなく北海道の牧場に淡い憧れを抱いていたことから、北海道の求人にいくつか応募しましたが、すべて不採用。
「どうしよう、このままではどこにも行けないかもしれない・・・」
焦りを感じた私は場所も確認せずに目に付いた求人に応募し、農家の住み込みバイトに無事に採用されました。
採用先の農家の場所は「沖永良部島」。初めて聞く地名でした。調べてみると、そこは鹿児島と沖縄の間の海に浮かぶ小さな離島でした。
偶然の重なりにより、憧れを抱いていた北ではなく真逆の南へ飛ぶことになったのです。
沖永良部島までの道のり
当時(2015年)、沖永良部島までの行き方は大きく2つありました。※
①羽田空港→(飛行機 約2時間)→鹿児島空港→(飛行機 約1.5時間)→沖永良部空港
②羽田空港→(飛行機 約2.5時間)→那覇空港-那覇港→(フェリー 約7時間)→沖永良部・和泊港
※那覇空港⇔沖永良部空港を結ぶ路線が2018年度より開通。(日本エアコミューター プレスリリースより)
フェリーのほうが旅費は安く済みますが長時間の乗船が必要なため、初めての一人旅にはハードルが高く感じたため、今回は鹿児島空港から飛行機で行くことにしました。
しかし、鹿児島空港から沖永良部島の旅路は、なかなかハードでした。その日は飛行機のサイズがとても小さく10名程度が乗ることのできる大きさでした。小さな飛行機の振動が体に直に伝わってきて、気分が悪くなるのに時間はかかりませんでした。当時は、ほかの島を経由するアイランドホッピングルートだったと記憶しています(現在は、直行便ができた模様)。そのため、やっと目的地に到着したときには、くたくたになっていました。
次回予告とおまけ
次回は、沖永良部島での新しい仲間との出会いや生活についてお話ししたいと思います。
本記事を書くにあたり、約10年ぶりに沖永良部までのアクセスを改めて調べたところ、10年前からアクセス性が向上していることを知りました。沖永良部は自然豊かな離島でとても魅力的でしたが、簡単にはアクセスできない点が難点だと感じていました。近年のアクセス性向上の取組みにより、多くの観光客が訪れ、魅力を感じてもらえるようになっているのではないでしょうか。
沖永良部島観光協会さんのHP「おきのえらぶ島の旅」では、上手に島の魅力発信がされています。写真やイラストが多く使用されており、沖永良部島のイメージが沸きやすいです。拝見していると、また訪れたい気持ちになります。皆さんも是非確認してみてくださいね。